うちの菜園にはモグラがいます。
芽が出た頃に土を持ち上げられたり、順調に育っていると喜んでいたら近くにトンネルを掘られて枯れてしまったり。
半ば放任状態の菜園であっても、本当にガッカリします。
これから菜園を真剣にやるようになればきっと大きな悩みの種となっていくでしょう。
営農されている方はともかく、家庭菜園だし自然農に憧れてるし、なんにせよあまり悩むことなくできるだけ自然におまかせしてやっていきたいと思っています。
モグラと共生する家庭菜園を目指せるか。私の考えをまとめてみたいと思います。
モグラの被害
モグラは餌を求めてあちこちにトンネルを作ったり、不要な土を地表に出してモグラ塚を作ったり。畝周辺にトンネルやモグラ塚が作られると農作物の根が切れたり痛んだりして衰弱し、ひどい場合は枯れるといった被害を受けます。
動物学者の川田博士によると、モグラ自身が植物を食べることはないのですが、モグラのトンネルをネズミなどの他の小動物が通路として利用して農作物を食い荒らすという被害もあるそうです。ネズミが利用している場合はトンネルに出入口になる穴が開いていることが多いそうで、モグラのほうはトンネルに穴が開くことをとても嫌い、土を持ち上げてすぐに穴を隠してしまうそうです。
( 川田伸一郎 『モグラ博士のモグラの話』岩波ジュニア新書 2020年 P45-46 )
いずれにせよ、餌を求めてトンネルを掘るという行動が被害の原因です。
モグラの生態
モグラとはどういう生態の生き物なのでしょうか。
モグラは主にミミズや昆虫を食べ、その昆虫は土中にいるコガネムシの幼虫、ネキリムシ、ヨトウムシなど農業では害虫とされるものが多いそうです。1日に体重の半分くらいを食べるそうで、例えばコウベモグラの体重は100グラムちょっとだそうですので、ミミズや害虫を50グラムくらい食べることになるそうです。1)
トンネルには、これははっきりした定義ではなくイメージだそうですが、大きく分けると深部にあって巣に通じる幹道、その幹道から派生する浅い所にある餌探し用の生活道、そして同じく浅い所にあって生活道から派生する1回限りの使い捨て的な探餌道の3種類があるそうです。
幹道は深さ30センチくらいにあって探すのは困難で、生活道は何度埋めても復活する、探餌道は埋めると復活しないというものだそうです。2)
モグラの寿命は3~4年ほどで、春にだいたい3~6匹を出産するそうです。子モグラはひとり立ちできるようになると、5~6月頃に母モグラから巣を追い出され、新しい住みかを求めてほとんど一生に一度の地上移動をするそうです。歩くことに適さないモグラにとって地上は移動が難しく、多くの子モグラは犬や猫などに捕まって生き延びられないそうです。3)
モグラは縄張意識がとても強く、オスとメスであっても繁殖時以外は時に生死をかけた縄張争いをするそうです。モグラ1匹のテリトリーは平均的な水田1~2枚(参考:田1枚がだいたい1反=300坪=約1,000平方メートル)とのことです。4)
1)井上雅央・秋山雅世 『おもしろ生態とかしこい防ぎ方 モグラ』 農文協 2021年 P49-50
2)井上雅央・秋山雅世 『おもしろ生態とかしこい防ぎ方 モグラ』 農文協 2021年 P32
3)川田伸一郎 『モグラ博士のモグラの話』岩波ジュニア新書 2020年 P37-39
4)川田伸一郎 『モグラ博士のモグラの話』岩波ジュニア新書 2020年 P36
うちにはモグラが少なくとも10年以上います。寿命を考えると代替わりしているのかな。
ひょっとしたらモグラ一家がいて、夫婦・親子・親戚などの数匹がトンネルをあちこちに掘っているのかもと思ったこともありましたが、オスとメスでも縄張争いをしたり、育った子モグラを母モグラが巣から追い出すそうですから、メスだとしても子育て期以外はたぶん1匹だけのようです。
縄張意識がとても強いということですので、もし餌が有り余るほど菜園にあったとしても他から侵入してくるモグラをうちのモグラが追い払ってしまうので、モグラが増えて増えて困るという事態になる心配もなさそうです。テリトリーの面積から考えても、うちの菜園なら1匹だけ。
そしてこの周辺には外猫さんがたくさんいます。イタチもトンビもカラスもいます。子モグラが生きのびるのはかなり大変な環境でしょう。例え豊富に餌があったとしても、生態と環境から考えて子育て期以外は2匹以上に増えることはないでしょう。
そして、モグラがいることのメリットもあります。
モグラはミミズ以外に土の中の害虫を食べてくれます。もしいなくなれば、トンネル堀りによる被害はなくなりますが、ヨトウムシなどの被害が増える可能性がでてきます。
また、こちらが希望する場所とは限らないのが難点ですが、不耕起栽培をするものにとってはトンネルによって土中に空気を送り込んだりモグラ塚では天地返しをしてくれたりする天然の耕運機のような存在。まだよく分かりませんが、自然にとって何かしら必要な行為なのかもしれません。
それに、もし今いる1匹を捕まえられたとしても、きっとすぐによそからやって来るでしょう。
人間にとって都合の悪い面も良い面も持っているモグラ。異常繁殖する可能性はなさそう。昔から畑にいる存在。自然にいて当然の存在。
うちの菜園のモグラ対策
トンネル堀りやモグラ塚をあちこちに作る行動さえ適度に抑えられれば、そう悩むことなく共存できそうな気がしてきました。
トンネル堀りやモグラ塚を減らすためにできることは?
モグラがトンネルを掘る目的は餌を探すこと。 餌はミミズと昆虫。
餌のうち、昆虫はどうにもできませんが、ミミズは何とかなるかもしれません。ミミズを特定の場所にできるだけ密に集めて、ほかの場所では今まで通り適度に生息しているという状態であれば、モグラの行動範囲をその特定の場所にある程度は限定できるかもしれません。
そして、モグラのトンネルを使うネズミなどの小動物の二次被害(こちらは今までなにせ放ったらかしでしたので気にならない、というより気がつきませんでしたが)も、見つけ次第トンネルや穴を潰していけば防止できるのかも。
ということで、
- ミミズを特定の場所(コンポストや剪定枝置場)で密に繁殖させる。
- 有機物は、ミミズを繁殖させる特定の場所以外は、偏らないよう菜園全体に満遍なく敷く。
- モグラのトンネルをこまめに埋めていく。
この3つで対応し、モグラと共生していこうと思います。
ミミズを調べ始めたところ、かなり興味深い生き物のようですので、またあらめて。
本日も最後までお読みくださってありがとうございます。
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